
■買うか?賃貸か?
住む家は買うか?賃貸か?――これは永遠の議論ですが、近年の住宅問題に関してはそもそもマイホーム購入の合理性が減ったと指摘することができます。戦後、政府は住宅建設で経済成長を推進し、住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)が供給した
住宅ローンが誘い水となって中間層の持ち家取得が増えました。
そして、住宅・土地価格の上昇率は賃金・物価のそれを上回り、住宅所有は資産形成の有効な手段でした。 家主や不動産屋などの供給サイドにとっても、賃貸は資本回収に時間がかかるのに対し、売り家の場合はすぐに回収可能で合理的だったのです
。しかし、ご存じのとおりバブル崩壊でデフレ経済に突入しました。 デフレのもとで住宅ローンを背負うと、実質的な債務負担が重くなっていきます。 そして、給料は上がらず、雇用は不安定で、持ち家の資産価値は下がるばかりです。
政府は適切な賃貸住宅を増やし、無理をして家を買う人を減らすようにする必要があるでしょう。戦後から続く持ち家信仰に注意を促す必要があります。
『家賃もローンも毎月の支払額は同じ』 『賃貸はいつまでたっても持ち家にならない』 というセールストークをよく聞きますが、そもそも完済までたどりつけるかどうかが難しい時代です。
住宅ローンは向こう数十年間の家賃を前借りしていることになるので、そうしたリスクを覚悟のうえで家は買わなければなりません。
固定か、変動か、はたまた買うか賃貸か―――選ぶのはあなた自身です。